介護施設では ICT(Information and Communication Technology)の導入が進んでいます。

ICT と聞いてどのような役割やイメージが浮かびますか?

今月はICTについての研修を実施したので、みなさんにもご紹介します。

 

ICT を導入する目的は主に3つあります。

 

「ご利用者へのサービスの質を高める」

これまで見落としがちだった細かい情報も、しっかりと記録・共有できるようになります。 その結果、一人ひとりに合わせたケアがしやすくなり、安心感にもつながっていきます。

 

「職員の負担を減らす」

たとえば記録や申し送りなど、どうしても時間がかかっていた業務が、ICT を使うことで簡単・スムーズにな ります。慌ただしい中でも、少しでも余裕が生まれるような環境づくりを目指しています。そしてその空いた 時間で別の作業を行うことができます。

 

「生産性を高める」

単に効率を上げるというだけでなく、限られた時間や人手のなかでも、より良い仕事ができるようにするという意味があります。ICT は“負担を増やす道具”ではなく、“業務のパートナー”としての力を発揮します。

 

生産性を高めるとは「ただ作業を早く終わらせること」ではなく、「必要なことに集中できるように、仕事の 中身とやり方を見直していくこと」です。 ICT 機器は、私たちが手作業でやってきたことの一部を代わりに 担ってくれます。

 

老健ではICTの一つとして見守りカメラを導入しています。

見守りカメラはホールや廊下、各ベッドに一つ設置されており、ケアステーション内でリアルタイムの映像を 見ることができます。カメラと聞くと、以前は“監視”のような印象を持たれることもありましたが現在では “業務のパートナー”として、職員にとっても、ご利用者にとっても非常に有益な ICT 機器として定着して います。

 

見守りカメラの利点

 

「訪室しなくても状況を把握できる」

たとえば夜間、職員の人数が限られる中ですべての居室を一定の間隔で巡視するというのは、身体的にも精神 的にも大きな負担になります。 そうした中で、カメラを通じて「今この方は起きているのか、寝ているのか」 「様子に異変はないか」を事務所から確認できるというのは大きな支えになります。

 

「事故の振り返りと原因分析」

また、転倒や転落といった事故が起きてしまったとき、カメラの映像が残っていれば「なぜその事故が起きた のか」を客観的に確認することができます。たとえば「ベッドから降りようとして足を滑らせたのか」、「夜中にトイレに行こうとしていたのか」、「介助の際のどの動きがきっかけだったのか」といった点が、記憶や感覚だけに頼らず、映像で検証できる。これは、事故の再発を防ぐための具体的な手立てを考える上で非常に役立ちます。

 

介護は人対人のお仕事ではありますが、見守りカメラはその側面を支える機能として活躍しています。今後も 日々のコミュニケーションや小さな気づき、寄り添いなど人間同士だからこそできるコミュニケーションを大 切にしながら、ICTを導入することでご利用者、職員にとってよりよい環境作りを整えていきたいと思います。

 

(老人保健施設 清華苑養力センター R.H)